「アルバート」あとがき




「巴」を書き「リクエスト」を書いて、それでも書ききれなかった色んなものを書こう。
それが「アルバート」でした。



「巴」という小説は当時の私なりに考えつくして書いたつもりではありましたが、
連載を終えたあとも、どうしても納得がいかずもやもやした所がありました。
エロがどうもエロくない。
阿雲特有のエロさである、「兄弟」が圧倒的に書けてない。
本物の兄弟だからこそ、普通のカップリングの何倍もストイックで禁忌的でエロいはずなのに、
私の阿雲はまだ双子の兄弟というよりは同級生に近い。
まずは雲水と阿含を、ただひたすらに現実的な「本物の兄と弟」にしなければいけない。
しかも彼らは普通に仲のいい兄弟ではなく、
普通の兄弟にはないそれはもう色々な葛藤がある。
それを全部書こう。全部書いたその時には「兄弟」になるんじゃないか?
だから、ふたりがどんな風に最終回を迎えるのか、とか、
どんな展開があるのかなどは、全く何も考えずに連載を続けていました。
一話一話、「これを書く」というのを決めて、
下手すれば永遠に続いてしまうかもしれないと思いながら書きました。
「エロをエロく」というのが始まりでしたが、
半ば実験のような小説で、書いてる私にもどうなるかさっぱりわからなかったのです。




「アルバート」は徹底的に雲水と阿含を書く小説でした。
その他の登場人物は、彼らを外側からかたち作る要素で、カメラみたいなものです。
でしたので、アイシのキャラクターだけではどうしても足りず、
オリジナルのキャラクターを投入せざるをえませんでした。
アイシのキャラのなかで、違和感なく存在できれば上出来だと思いつつも、
それは非常に難しく(脇役という意味で、一休と祐太が同列なので)、
彼らにも温かいお言葉をいただいた時は、本当に嬉しかったです。




気付いてみれば「巴」よりも短い18話という小説なのに、
かかった時間はなんと…1年8ヶ月!(自分でビックリ)
途中、サイト自体の休止や、ファンブックショックによる連載断念など、
もう…何度「もう、だめだ」と思ったことか…。
なにより、私はいままで"小説=ストーリー"という、
展開によって状況や心情が動く、という形で文を書いてきたため、
"小説=心理描写"という、心の動きだとか内面を中心にして文章を書くのに、
(書く前からなんとなくわかっていたのですが)苦戦しました。
整理してストーリーを作るのと違って、すぐに泥沼にはまってしまい、
「もう、これ以上どうにも進めない…」と思う事は毎回でした。
でも、書き上げたときの嬉しさや、感想をいただいたときの喜びは、
ストーリー重視のものとは比べものになりませんでした。

連載の最初から「白」のイメージが強く、
あえて「白」という言葉を使わないようにしてきたのに、
いただく感想に「白」という言葉が多かったんですね。
言葉にはできないような私の頭の中にあるものが、伝わってる…と、
とても感激しました。なので、最後は白を目一杯つかわせてもらいました。


もうなんか…最後まで読んでくれた人がいるっていうだけで、
ありがたくて信じられないような思いです。
いやあ、あとがきに書くこともないくらい書きました!

「アルバート」の雲水と阿含を見守ってくださってありがとう。
最終話をアップすることができて、これ以上ないくらい幸せです。
モニタの向こうにいるであろう、顔もみえない読んでくれたあなたに、
心からお礼が言いたいです。
あなたが見ていてくれなかったら、絶対終わらなかったと思います。(本当に!!)
長い長い間、本当にお疲れさまでした!!
ありがとうございました!


2007.1.21
ReheaRsal 北川

2007.2.13追加

「あとがき代わりに20の質問」

1) この小説を書き終えた、今現在の心境を一言で簡潔に言い表してください。

>>「終れた…」


2)この小説を書く上で、一番書きやすかったところはどこですか?

>>6話「王様」7話「泥棒」
この流れは展開が早く、イメージが決まっていたのでとても
書きやすかった。
大きく話が動く回は比較的書きやすく、心象描写がメインの回は書き難い。


3)この小説を書く上で、一番苦労したところはどこですか?

>>
最終話「雲水と阿含の世界」
・でかすぎてまとめきれない
・目に見えなもの(完成した世界観)がうまくかけない
・結論(オチ)を出さなくてはいけない…の三重苦。
ああ、あと・長過ぎて読み返してて前半を忘れる、も手伝って永遠に終らない気さえした。
いや…でもやっぱりオチというか、"アルバート"の"答え"をどうするのかが答え出るまでが長かったから、
その他が進まなかったんだろうなあ。


4)ボツにしたタイトル、仮タイトル、執筆中のコードネームなどありましたら教えてください。

>>最初から「アルバート」です。
書いてる時のシンプルテキストのファイル名は「albert_12」みたいなまったくもってそのまんま。


5)タイトルの由来(意味)は何ですか?

>>もやーっとしたこういうの書きたいなあっていうイメージを言葉にすると多分、
"相対"みたいな事だったのでまんまもなんだし、直接的すぎず覚えやすいので、
あの人の名前を借りました。


6) この小説を書き始めるきっかけはなんでしたか?

>>

「巴」で消化しきれなかった部分と、
「巴」とは違ったやり方があるんじゃないかな、みたいな気持でしょうか。
もやもやした。悶々とした。
あれやりたい!というよりも納得のいかなさ、口惜しさですね。きっと。


7) この小説を書く上で、何か影響を受けたもの(他の作品や、他媒体の創作物など)はありますか?

>>まずは原作とファンブックで発覚した事実(一休が双子とタメだったとか)。
あとはあんまり思いつかない(思い出せない?)ですが、
出てきたクラブにはだいたいこんな…ていう音楽のイメージがあります。
・"キングダム"のイメージはTLCの「3D」
・「龍の目」に出て来た店は John Legend の「Get Lifted」(アルバム)


8) これがあったから、この話がかけました!(これがなかったら、かけませんでした!)
 というものはありますか。

>>「巴」と「KULO.」
6で書いたとおり、「巴」が反面教師(?)として。
「KULO.」はストーリー展開とハッピー路線しか書いた事がなく、書く勇気が無かった。
「KULO.」を書いて凄く面白いなあとやっぱり難しいなあ…がわかったというか。
それでも書けない事はないことがわかったから書く勇気が出たというか。


9) ボツにしたストーリー展開を教えてください。

>>超あるよ!きりないのででかいのだけ…
・「王様」を書いたときはその後、アリスを阿含の彼女…というか女にする予定だった。
・「阿含の牙」タトゥーショップの場面で祐太と阿含のケンカ?があった(阿含が祐太に追いだされる)。
・「シンメトリー・シンドローム(R)」後、千秋と阿含がラブホテルにいる場面があった…けど、
 そんなにクローズアップしても…"と思って、却下。
 "阿含いきつけのクラブに女っぽくなった千秋が通ってる"だけに。
・「龍の目」は雲水が渋谷の阿含の所に行きますが、最初は阿含が金剛寺に行く話だった。
・最終話は超絶はしょって書くと(1)バッドエンド:阿含がキングダムの件で警察に捕まる。と
 (2)ハッピーエンド:阿含と雲水がお互いがお互いの為だけに生きる。
 という構想が中盤くらいからあった…んだけどいざ書いてみたらでもどっちも釈然とせず却下。


10)プロット(思惑)どおりに進みましたか?

>>…私にしては…進んだ…んじゃないでしょうか…。全体的には。
部分的にはかなりと変ってますけど、最終的には思惑通りだと思います。


11)これが書きたくてこの話を書きました、という部分はどういうものですか?

>>最終話のエロです。
それ以前(1〜17)はそれを書く為にそのエロの威力を出すための”タメ”というか…。


12)一番こだわったところはどこですか?

>>雄(オス)感。でしょうか…(変な日本語つくってすみません)
やっぱりどうしても女にはない、攻撃的な鋭さとか、ぞっとするくらいの鈍感さとか、
性欲に関しての貪欲さも含めた"怖さ"というか"残酷さ"。オス特有の思考回路というか…。
「雲水の角」と「阿含の牙」はその象徴なんですが、
一休も祐太もふくめて常に"オスである"行動と思考をと思って書きました。
あとは…建物なんかはなんとなくですけど絵を描いてから書きました。
イメージとか位置がごちゃごちゃになりそうだったので…。


13)一番好きなキャラクターと、一番嫌いなキャラクターを、理由つきで教えてください。

>>これはオリジナルキャラオンリーで。(アイシのキャラ好きに決まってるし)
好きというか愛着があるのは"千秋"です。一番葛藤のある脇役だっただけに愛着が。
個人的には祐太とつき合えば幸せなのに…とか思ってます。
自分で書いたキャラなんであんまり嫌いなキャラってないんですけど…
でもクラブに出入りするような人間は基本的には苦手ッス。笑
だからキングダムに出入りしてる子ども達はけっこう憎らしいだろうなあ。


14) 実際にいたら嬉しいキャラクターと、実際にいたら厭なキャラクターを教えてください。

>>嫌だよ、あの阿含は。笑
近くにいたらものすごく不安だって。
いたら嬉しいのは…まあ…祐太かなあ。害ないからなあ。


15)この人にはこの言葉を言わせたかった!という台詞をキャラ別にどうぞ
(実際に言わせていなくてもOK)。

>>没ストーリーの阿含と千秋がラブホテルにいる場面で、千秋に
「そっくりね」というセリフは言わせたかった。


16)この小説の登場人物たちを使って、別の話を書く予定はありますか?

いやーないッス。
本当は最終回のおまけに芹沢先生の番外編書こうかなと思ったんですけど、
なんか…蛇足っぽいのでやめました。



17) この小説の中でこの部分が一番会心の出来なのです! というシーン(か台詞)を抜粋してください。

>>自分でか!!
会心…「巨人の庭・後編」で「王様」の最初とちゃんとつながった所かな…。
ヒヤヒヤだったからなー。


18)この小説で取り上げたテーマやアイデアに、もう一度別の形で挑戦してみたいですか?

>>ないです。


19)何か、これだけはしておきたい言い訳というのはありますか?(笑)

誤字…脱字…気をつけてはいるつもりですが…あったら…教えて頂きたいと…。
後は最後の最後にひっぱたわりには、エロちょっと物足りなくなかった?大丈夫って今更不安。
書いたときは「やったどー!」って思ったんだけどなあ。笑


20)最後に一言どうぞ!

もし思う事あれば、ご意見いただけると嬉しいです。
褒めていただく必要はないです、ここは違和感あったとかわかりにくかったとか、
そういう意見もすっごい待ってます。
本当にお疲れさまでした!



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「あとがき代わりに20の質問」は↓から。
http://www.asahi-net.or.jp/~tz4a-izw/atogaki.htm
今回初めて使ったんですけれど、あとがきがとりとめがない人にはおすすめです!